うちは5人の会社だ。
正確に言うと、5名のコアメンバーと、北海道から沖縄まで全国に広がる業務委託パートナーで動いている。その構造でAIを使ったサービスを作っている。開発者がいるわけではない。潤沢な資金があるわけでもない。それでも作れた。今日はその話を書く。自慢ではなく、同じような規模の会社に向けた、実況報告として。
2年前には不可能だったこと
2年前、5人の会社がWebサービスを作ろうとすれば、外部の開発会社に発注するか、エンジニアを採用するかしかなかった。前者は数百万円かかる。後者は採用できる保証がない。小さな会社にとって、サービス開発は「やりたくてもできない」領域だった。
それが変わった。AIがコードを書いてくれるようになったからだ。
正確に言うと、AIが全部書いてくれるわけではない。でも、方向を示して、エラーを伝えて、「こういうことがしたい」と言葉で伝えれば、動くものが少しずつ出来上がっていく。その過程を、非エンジニアでも伴走できるようになった。これは本質的な変化だ。
壁は技術ではなかった
実際に作り始めてわかったことがある。一番の壁は技術ではなかった。
「何を作るか」を決めることだった。
AIに「サービスを作ってくれ」とは言えない。「こういう課題を持つ、こういうユーザーのために、こういう機能が必要だ」という解像度まで落とし込んで、初めてAIは動き出す。その解像度を上げる作業は、AIにはできない。人間がやるしかない。
これは、第2回で書いた「プロンプト力より思考の言語化」と同じ話だ。作るものが明確であれば、AIはかなりのところまで連れて行ってくれる。作るものが曖昧なまま始めると、曖昧なものが出来上がる。
5人だからできたこと
逆説的だが、5人だからできた部分もあると思っている。
大きな組織でサービスを作ろうとすると、合意形成に時間がかかる。仕様変更のたびに会議が必要になる。承認フローが走る。その間に、市場が動く。
5人なら、朝に「これ変えよう」と言って、夕方には変わっている。AIと組み合わせると、この速度がさらに上がる。思いついたことを即座に試せる。失敗してもすぐやり直せる。小さいことが、武器になる場面がある。
大企業がAIを使いこなすのに苦労している間に、小さな会社が先に動ける。今はそういう時代の入り口にいると、私は思っている。
それでも、甘くはない
ここまで読むと順調そうに聞こえるかもしれないが、そんなことはない。
AIが書いたコードは、なぜそう動くのかを自分が理解していないと、壊れたときに直せない。エラーが出て、AIに聞いて、直して、また別のエラーが出る。その繰り返しの中で、少しずつ「わかる」部分が増えていく。学習コストはゼロではない。
それから、AIは「動くもの」は作ってくれるが、「使われるもの」を作るのは別の話だ。ユーザーが使いたいと思うか。使い続けるか。これはコードの問題ではなく、サービス設計の問題だ。ここは人間が考え続けるしかない。
私はスポルアップをAIの「実装屋」にしたいと思っている。作って、動かして、運用して、そこで得た知見を次に活かす。AI単体で事業にはならない。データを集め、AIで処理し、人間が検証し、ユーザーに届ける——その全体を設計できる会社でありたい。5人だから身軽に動ける。その強みを、ここに使う。
次回は、数字と人間の話を書く。財務に長く携わってきた立場から、ずっと思っていることを正直に書く。
株式会社スポルアップ CFO 加藤
AI・経営・数字まわりのことを、思ったことをそのまま書いています。
