「50代はネット通販を使わない」——そう思われがちですが、当社(株式会社スポルアップ)が2026年3月に実施した予備調査(n=6,000)では、50代のEC利用率は74.0%と、全年代で最も高い結果でした。
では、50代は”なぜ・どのくらい・何を”ECで買い、どんな不満を抱えているのでしょうか。
EC支援と市場調査の両面から購買行動を分析してきた当社は、50代のECアクティブユーザー300名を対象に本調査を実施しました。見えてきたのは、「毎週使う道具」ではなく、「月に数回、安さとポイントを確かめながら、店に行く手間を省く道具」としてのECの姿でした。
本記事では、当社調査データと自由記述の”生の声”をもとに、50代のEC利用の実態と、EC事業者が取るべき対応の方向性を整理します。
利用頻度——「月に2〜3回」が最多、月1回以上は72.7%

直近3か月の平均的な利用頻度を尋ねたところ、「月に2〜3回」が最多の33.0%、「月に1回程度」28.3%、「2〜3か月に1回程度以下」27.3%でした。月1回以上の利用は合計72.7%、週1回以上は11.3%にとどまります。
| 回答 | 全体 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|---|
| 週に2回以上 | 3.3% | 3.3% | 3.3% |
| 週に1回程度 | 8.0% | 9.3% | 6.7% |
| 月に2〜3回 | 33.0% | 38.7% | 27.3% |
| 月に1回程度 | 28.3% | 24.7% | 32.0% |
| 2〜3か月に1回程度以下 | 27.3% | 24.0% | 30.7% |
性別・年齢(50〜54歳/55〜59歳)による差は小さく、週1回以上は男性12.7%・女性10.0%、50〜54歳12.4%・55〜59歳10.4%です。50代のECは”毎週の習慣”というより、”月に数回、必要なときに使う道具”として定着している姿がうかがえます。
使う理由——「安さ・ポイント」と「手間・時間」が並ぶ

ECで買い物をする理由(複数回答)は、「店で買うより安い・ポイントが貯まる」68.0%、「店に行く手間・時間が省ける」64.3%が上位2つで、3.7ポイント差とほぼ並んでいます。以下、「近くの店に売っていない・品揃えが豊富」52.3%、「時間を気にせず(夜間・休日でも)買える」46.7%、「重い物・かさばる物を運ばなくてよい」41.7%、「レビューや価格をじっくり比べて選べる」36.3%と続きます。
「重い物・かさばる物」は女性46.0%・男性37.3%と女性で高く、自由記述でも「米を運ぶ必要がなくなった」「ビールをケース買いするようになり、運んでくれるので、買い物が非常に楽になりました」という声が目立ちました。一方、「家族に頼まれる・家族の分をまとめて買う」は8.0%にとどまり、既婚(6.5%)・子供あり(4.9%)でも上がりません。50代のECは「家族のため」より「自分の買い物の効率化」に使われているようです。回答者は1人あたり平均3.3個の理由を挙げており、単一の動機ではありません。
よく使う層は「時間を選ばない」「品揃え」で差がつく

利用頻度で2つに分けると、月2〜3回以上使う層(n=133)は、月1回程度以下の層(n=167)に比べて「時間を気にせず買える」56.4%(+17.5pt)、「品揃えが豊富」60.9%(+15.4pt)、「レビューや価格を比べて選べる」43.6%(+13.1pt)が高くなっています。「安さ・ポイント」はどちらの層でも上位(74.4%/62.9%)です。6つの理由すべてでよく使う層のほうが高く(挙げる理由の数自体が多い)、そのなかでも差が大きいのが「時間」「品揃え」「比較」でした。
安さは両層で上位。よく使う層ほど「時間」「品揃え」「比較」を挙げる。
買っているもの——「日用品」「食品」が首位、3月と顔ぶれは変わらず

直近3か月にECで購入したカテゴリ(複数回答)は、「日用品」47.0%、「食品」41.7%が上位。「健康食品・サプリメント」31.7%、「アパレル」31.7%、「飲料」31.0%、「家電」30.3%が続きます。
| 順位 | カテゴリ | 全体 | 男性 | 女性 | (参考)3月 予備調査 50代EC利用者 n=740 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 日用品 | 47.0% | 46.7% | 47.3% | 46.4% |
| 2 | 食品 | 41.7% | 39.3% | 44.0% | 40.8% |
| 3 | 健康食品・サプリメント | 31.7% | 36.0% | 27.3% | — |
| 3 | アパレル | 31.7% | 27.3% | 36.0% | — |
| 5 | 飲料 | 31.0% | 34.0% | 28.0% | — |
| 6 | 家電 | 30.3% | 38.0% | 22.7% | — |
| 7 | 化粧品 | 25.7% | 10.0% | 41.3% | — |
| 8 | ペット用品 | 14.0% | 12.7% | 15.3% | — |
| 9 | ベビー用品 | 3.0% | 2.7% | 3.3% | — |
この設問は2026年3月の予備調査と同一の設問文・選択肢で聴取しており、3月の50代EC利用者(n=740)でも日用品46.4%・食品40.8%が上位でした。上位品目の顔ぶれは変わっていません。3位以下のカテゴリは、3月が自然回収(性別・年齢に偏りあり)、9月が男女均等の割付と標本の構成が異なるため、本記事では3月の値を並べず、増減としても扱いません。
性別の差が大きいのは化粧品(女性41.3%・男性10.0%)、家電(男性38.0%・女性22.7%)、健康食品・サプリメント(男性36.0%・女性27.3%)です。50代のEC購買の中心は「日用品・食品」で共通しつつ、性別で”何を買うか”は大きく分かれます。
不満の1位は「実物を確かめられない」63.3%

ECで感じる不満・不安(複数回答)は、「実物を確かめられない(サイズ・色・質感)」が63.3%で突出し、2位の「送料が高い・送料無料の条件が分かりにくい」35.0%を28ポイント引き離しています。3位「返品・交換の手続きが面倒」26.0%、4位「レビューの信頼性(サクラ)や偽物が不安」25.0%、5位「受け取り(不在・再配達・置き配)が不便」20.3%。「特に不満・不安はない」は19.0%でした。
「会員登録・画面操作・ログインが煩わしい」は7.7%と少なく、50代の不満は”操作”ではなく”確かめられないこと”にあることが分かります。よく使う層(月2〜3回以上)では「レビューの信頼性・偽物」30.8%(月1回以下 20.4%)、「決済・個人情報の安全性」18.0%(同10.2%)が高く、利用が増えるほど「信頼」に関わる不安が表面化する傾向がうかがえます。
節約意識は8割超——3月と同水準

日常生活の節約意識について、「かなり高まっている」38.3%、「やや高まっている」43.3%で、「高まっている」計は81.7%。3月の予備調査(同一設問・50代EC利用者)の77.6%に対して+4.1ポイントで、n=300の標本誤差の範囲内=同水準です(※3月は自然回収、9月は男女均等の割付と標本の構成が異なります)。女性86.0%・男性77.3%と、女性でやや高い結果でした。
節約意識の高さと、ECを使う理由の上位「安さ・ポイント」が重なる形で、50代にとってECは”節約の道具”としての面をもつことがうかがえます。
自由記述——「運ばない・回らない」と「確かめられない・買いすぎる」

自由記述(有効144件)では、便益と困りごとが対になって挙がりました。
変わったこと(便益)
- 「お店を何軒も回ってベストのものを探したりする手間がかなり省けるようになった」
- 「米を運ぶ必要がなくなった」「ビールをケース買いするようになり、運んでくれるので買い物が非常に楽になりました」
- 「ポイント還元と送料を計算してから、メリットの有無を確認しています」
- 「近くで販売していないものも購入できるようになった」
困ったこと
- 「サイズや色が合わず返品が面倒だった」「実物が見れないのでたまにはずれがある」
- 「送料が無料になる金額になるまで、商品を必要以上に多めに買うことが増えてしまった」
- 「安くなっているとつい必要ではないものまで買ってしまう」
- 「ネットで買い物をすると段ボールが貯まってめんどくさい」「置き配の場所が指定と違う」
便益は「運ばない・回らない」、困りごとは「確かめられない・買いすぎる」——Q2(理由)とQ4(不満)の上位と同じ構図が、生の声でも確認できます。
EC事業者への3つの示唆
① 「安さ・ポイント」は両層で上位、よく使う層は「時間」「品揃え」「比較」も挙げる
安さは全層で上位に挙がる一方、よく使う層ほど「時間を選ばない」「品揃え」「比較して選べる」を理由に挙げています。価格訴求に加えて、よく使う層が評価している点(いつでも買える・品揃え・比較のしやすさ)を伝える余地があると考えられます。
② 「実物を確かめられない」不満への対応
6割超が挙げる最大の不満です。実寸・着用イメージ・質感の説明、レビュー写真の充実、返品・交換手続きの簡便さが、50代の不安を下げる直接の手段になります。「操作が煩わしい」は7.7%にとどまり、UIの簡略化よりも情報の充実が優先度の高い課題です。
③ 重量物・受け取り設計
「重い物を運ばない」は女性で特に高く、自由記述でも米・水・ビールのケース買いが挙がりました。定期便や置き配・宅配ボックスへの対応は、この層の便益を支える基盤です。同時に、送料無料の条件で必要以上に買ってしまう、という声もあり、条件設計は満足度と表裏の関係にあります。
「使わない世代」ではなく「確かめて使う世代」
50代のEC利用は、月1回以上が72.7%、理由の上位は「安さ・ポイント」と「手間・時間」、最大の不満は「実物を確かめられない」でした。ECを避けているのではなく、安さと品質を確かめながら、必要なときに使っている——それが本調査から見える50代の姿です。
当社(株式会社スポルアップ)では、自社リサーチによる年代別・動機別の購買行動分析、商品情報・レビュー設計の支援、送料条件・配送設計の検討支援など、データに基づくEC支援を行っています。
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本記事で紹介したデータをすべて収録した、ダイジェスト版レポートを無料配布しています。
- Q1〜Q5の単純集計(全体・男女別・年齢2区分)
- 利用頻度別のクロス分析グラフ
- 3月予備調査との同一設問比較(購入カテゴリ・節約意識)
- 自由記述(便益・困りごと)の分類
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購買行動分析、年代別セグメントの設計、自主企画リサーチの設計など、当社リサーチ部門による調査・分析支援も承っております。
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調査概要
- 調査名:「50代のEC利用実態」に関する調査 2026
- 調査期間:2026年9月16日
- 調査対象:全国 50〜59歳 男女 ECアクティブユーザー
- サンプル数:n=300(男性150 / 女性150)
- 調査方法:インターネット調査(セルフ型アンケートツール「Freeasy」使用)
- 調査主体:株式会社スポルアップ Research Division
補助参照データ:EC利用実態調査 2026(予備調査・n=6,000・2026年3月)。本記事の「3月」の数値は同調査の50代EC利用者(n=740)の値です。購入カテゴリと節約意識は予備調査と同一の設問文・選択肢で聴取しています。
※本記事のグラフ・データはすべて当社が独自に実施した調査に基づくものです。
※引用の際は出典として「株式会社スポルアップ調べ」を明記してください。
