消費者購買行動の実態分析レポート 第2弾

EC事業者にとって、レビューは購買意思決定における最重要要素のひとつです。

当社(株式会社スポルアップ)が2026年3月に実施した予備調査(n=6,000)でも、購入前にレビューを「ほぼ確認する」と回答した人は82.0%にのぼり、レビューが消費者の判断を左右する位置にあることが確認できました。

しかし、その「確認」はそのまま「信頼」を意味しているのでしょうか。

EC支援と市場調査の両面から購買行動を分析してきた当社は、この問いを掘り下げるため、ECアクティブユーザー500名を対象とした本調査を実施しました。
そこで見えてきたのは、「見ているのに、必ずしも信じていない」消費者の姿と、信頼の根拠が属性によってまったく異なる方向に分岐している実態でした。

本記事では、当社調査データをもとに、レビュー信頼性の実態と、EC事業者が取るべき設計の方向性を整理します。

目次

レビュー確認率82%の「裏側」

予備調査では、購入前にレビューを「ほぼ確認する」とした回答が82.0%
ところが、本調査でECアクティブユーザーに尋ねると、「ECレビューが『サクラかも』『操作されているかも』と疑ったことがある」と回答した人は75.6%(「よくある」24.0% +「たまにある」51.6%)にのぼりました。

そして、「レビューへの不信感から購入をやめた経験がある」と回答した人は65.4%

「ほぼ全員がレビューを見ている」と「ほぼ全員がレビューを疑っている」が同居し、その不信が3人に2人の購入断念につながっている——。これが、当社調査が捉えた現在のECユーザーの実態です。

図:レビュー確認率82% → 疑念率75.6% → 離脱経験65.4% の関係(当社調査)

「確認している」ことは、必ずしも「信頼している」ことではない——。
当社調査は、この構造をはじめて数字で可視化したものだと言えます。

EC利用者の4人に3人が、レビューに疑念を持った経験あり

もう一度、本調査の数字を詳しく見ていきます。

「ECレビューを『サクラかも』『操作されているかも』と疑ったことがある」と回答した人は75.6%
男女差は7.2pt(男性79.2% / 女性72.0%)と小さく、サクラ疑念は性別を問わず広く共有された感覚であることが確認できました。

Q1 サクラ疑念経験 全体結果ドーナツチャート
図:Q1 ECレビューを「サクラかも」と疑った経験(当社調査 n=500)
Q1 サクラ疑念経験 男女別積み上げ棒グラフ
図:Q1 男女別 構成比(当社調査)

レビューは「ある」ことではなく「信じられている」ことが価値の源泉になっている——そんな時代に入ったことが、この数字から見て取れます。

何が「サクラ」と判定されているのか

では、消費者は何をもって「サクラ」と判定しているのか。当社調査では次の上位5項目が浮かびました。

  • 評価が星5ばかり:64.8%
  • 文章が短・定型的:56.4%
  • 同時期に集中投稿:22.0%
  • 写真なし:15.2%
  • 低評価が急に消えた:15.0%
Q2 レビューを信頼できないと感じる理由(MA)
図:Q2 レビューを信頼できないと感じる理由(複数回答/当社調査 n=500)

注目すべきは、評価の量的バランス(星5偏重)と文章の質的バランス(短さ・定型性)の2点が、疑念のトリガーになっていることです。

つまり、「★5レビューばかりが集まる施策」はむしろ逆効果になりうるということ。そして「テンプレ的な定型レビュー」は、消費者の警戒心をかえって強めるということ——。
これまで「評価向上」の定石とされてきたものが、必ずしも信頼につながらない可能性が、当社調査から示されました。

レビュー不信は、購買行動に直接影響する

「レビューへの不信感から購入をやめた経験がある」と回答した人は、全体で65.4%(男性62.8% / 女性68.0%)。
3人に2人が、不信を理由に購入を断念した経験を持っています。

EC事業者の視点では、これは「失われた売上機会」として顕在化している数字です。レビュー設計の不備が、CVR(コンバージョン率)に直接影響しうることを示しています。

Q3 不信から購入をやめた経験 男女別
図:Q3 レビューへの不信感から購入をやめた経験(当社調査 n=500)

また、「レビューを確認せずに購入することはあるか」という設問では、男女で顕著な差が観察されました。

  • 「ほぼ必ず確認する」:全体47.2%(男性40.4% / 女性54.0%
  • 「よくある(信頼ブランドなら未確認)」:全体18.8%(男性24.8% / 女性12.8%)
Q4 レビュー確認の頻度 男女別積み上げ棒
図:Q4 レビューを確認せずに購入することはあるか(当社調査 n=500)

疑念率自体には性差はほぼないものの、その対処戦略には差があります。男性は「信頼ブランドへの依拠」で確認をスキップする傾向、女性は「毎回精査する」傾向が見られました。
同じ「レビュー不信」でも、対処の仕方は性別で異なっている、ということです。

20代の疑念率がピーク。年代で大きく異なる感度

ここからは、本調査の9軸クロス分析で見えてきた、属性別の差異を見ていきます。

まず年代別。「サクラを疑った経験:よくある」率を見ると、

  • 20代:38.5%(全体比+14.5pt)
  • 30代:24.0%
  • 40代:27.4%
  • 50代:19.8%
  • 60代以上:18.0%(全体比-6.0pt)
年代別 サクラ疑念率(Q1)
図:年代別 サクラ疑念率(当社クロス分析 n=500)

20代をピークに、年代が上がるほど疑念率が低下する傾向が確認できました。SNSや口コミに日常的に触れる若年層ほど、レビューの作為性を見抜く感度が高いと考えられます。

一方、60代以上は疑念率が最も低い反面、「ほぼ必ず確認する」率も33.3%(全体比-13.9pt)と最低でした。これは「信頼している」というより、そもそも詳細に検証していない可能性が背景にあります。

結果として、最も真剣にレビューを検証しているのは30〜50代のミドル層という構図が、当社クロス分析から見えてきます。

世帯年収500-600万円層で、離脱率が突出

世帯年収別に「不信から購入を断念した経験」を見ると、興味深い構造が浮かびます。

  • 100万円未満:46.9%(全体比-18.5pt)
  • 200-300万円:72.5%
  • 500-600万円:79.0%(全体比+13.6pt)
  • 700-800万円:65.9%
  • 1000-1200万円:72.2%
世帯年収別 不信による購入離脱率
図:世帯年収別 不信による購入離脱率(当社クロス分析 n=500)

100万円未満の低所得層は、価格優先で疑念があっても購入を継続する傾向。一方、500-600万円という消費の中核となるボリュームゾーンで離脱率が最も高くなっています。

つまり、人口規模が大きい中間層で、レビュー不信がCVR低下に直結している——これがEC事業者にとって最も影響の大きい構造である、と言えそうです。

信頼の手がかりは、経済階層で逆向きに分かれる

本調査で最も示唆的だったのは、「信頼できるレビューの特徴」が経済階層によって正反対の傾向を示したことです。

低所得層(100-200万円・n=40)では、「ショップからの返信あり」を40.0%(全体比+15.4pt)が支持。
高所得層(1000-1200万円・n=36)では、「写真・動画付き」を75.0%(全体比+21.2pt)が支持。

Q5 信頼レビューの特徴 × 世帯年収(低所得層 vs 高所得層)
図:信頼レビューの特徴 × 世帯年収(低所得層 vs 高所得層/当社クロス分析)

低所得層は「店との対話の有無」を信頼判断材料にする傾向、高所得層は「商品そのものの可視化(物証)」を信頼判断材料にする傾向——。
同じ「レビューを重視する」ユーザーでも、見ているポイントは大きく異なっているのです。

当社クロス分析が示すのは、単一のレビュー設計では、すべてのターゲットには届かないという事実です。

職業別に異なる、4つの対処スタイル

職業別にサクラ疑念率(Q1)と確認徹底率(Q4)を見ると、4つの対処スタイルが浮かびます。

  • 守りの消費型(パート・アルバイト):疑念81.6% × 確認63.3% / 疑い深く、徹底検証する
  • 家計管理型(専業主婦):疑念73.2% × 確認56.3% / 慎重に検討する
  • 自己判断型(自営業):疑念80.0% × 確認31.4% / 疑念は持つが自己情報源を優先
  • 低関与型(無職):疑念71.4% × 確認41.4% / 関与度自体が低い
職業別 サクラ疑念率と確認徹底率の比較
図:職業別 サクラ疑念率(Q1)と確認徹底率(Q4)の比較(当社クロス分析)

「疑念を持つ」ことは多くの職業で共通していますが、その後の「確認するか/自己判断するか」で行動が分岐します。

参考までに、業種別に見ると、製造業従事者(n=66)の疑念率は37.9%(全体比+13.9pt)と最も高く、品質判定の職業観がレビュー判定に反映されている可能性も観察されました。

本調査が示す「信頼の3階層」

ここまでの分析結果を整理すると、レビュー信頼の構造は3階層に整理できます。

レビュー信頼の3階層モデル
図:レビュー信頼の3階層モデル(当社調査結果に基づく統合フレーム)

共通基盤:否定的な内容も含む詳細レビュー

本調査で全体の74.6%が支持した、レビュー信頼の最も大きな基盤です。「完璧すぎる★5レビュー」よりも「欠点も含めて具体的に書かれたレビュー」を信じる——これはほぼ全セグメントに共通する傾向でした。

物証層:写真・動画付きレビュー

高所得層・若年層に特に強く支持される根拠です。本調査クロスでは、1000-1200万円層の75.0%、30代の62.5%、20代の57.7%が支持しています。

関係層:ショップからの返信・対応

低所得層・シニア層に特に強く支持される根拠です。本調査クロスでは、100-200万円層の40.0%、60代以上の33.3%が支持しています。

「共通基盤」を整えた上で、ターゲット層に応じて「物証層」「関係層」のどちらに重点投資するかを設計することが、レビューを「信じてもらう」ための鍵になります。

EC事業者にとっての、実務的な3つの示唆

当社調査から導かれる、レビュー設計における3つの観点を提示します。

① 評価の「分布」を可視化する

本調査では★5偏重が疑念のトリガー第1位(64.8%)でした。評価分布(★1〜★5の割合)を可視化し、★4以下のレビューにも導線をつくることが、信頼性向上につながる可能性があります。

② ネガティブレビューを残す勇気

74.6%が「否定的内容を含む詳細レビュー」を信頼の根拠としています。ネガティブな声を削除するのではなく、丁寧に残し、ショップ側の対応も併記することが信頼形成に寄与します。

③ ターゲットに応じた「物証」or「関係性」の使い分け

  • 高単価商材・若年層向け:写真・動画UGCの誘導施策
  • 低単価商材・シニア層向け:ショップ返信の運用標準化

ターゲットの属性に応じて、レビュー周辺の投資配分を変える設計が有効と考えられます。

レビューは「集める」時代から、「信じられる」時代へ

EC市場の競争環境は成熟期に入り、レビュー量や星評価の平均値だけでは差別化が難しくなっています。

当社調査が示すのは、消費者がすでに「量」「平均値」を信用しなくなっているという事実です。そして、その先にある「信頼の根拠」は、属性によって異なる方向に分岐しています。

当社(株式会社スポルアップ)では、

  • 自社リサーチによる属性別購買行動分析
  • レビュー設計のセグメント別最適化
  • UGCコンテンツの収集・運用設計
  • 顧客接点(ショップ返信・Q&A・レビュー返信)の標準化

など、調査データに基づくEC事業改善支援を行っています。

「集める」だけでは足りない時代のレビュー戦略について、ご相談を承っております。

詳細レポートのご案内

本記事で紹介したデータをすべて収録した、ダイジェスト版レポート(A4横・11ページ)を無料配布しています。

収録内容(すべて当社調査データ):

  • Q1〜Q5 単純集計(全体・男女別)
  • 年代別・世帯年収別・職業別のクロス分析グラフ
  • 信頼の3階層モデルの詳細
  • 信頼根拠の階層別比較(低所得層 vs 高所得層)

(簡単なフォーム入力で即時取得)

調査・分析のご相談

EC支援案件における購買行動分析、ターゲット別のレビュー戦略立案、自主企画リサーチの設計など、当社リサーチ部門による調査・分析支援も承っております。

調査概要

本調査

  • 調査名:ECレビュー信頼性に関する深掘り調査 2026
  • 調査期間:2026年4月30日
  • 調査対象:全国 ECアクティブユーザー 男女
  • サンプル数:n=500(男性250 / 女性250)
  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査主体:株式会社スポルアップ Research Division

補助参照データ:予備調査

  • 調査名:EC利用実態調査 2026(予備調査)
  • 調査期間:2026年3月18日〜30日
  • 調査対象:全国 15歳〜99歳 男女
  • サンプル数:n=6,000

※本記事に掲載のグラフ・データはすべて当社が独自に実施した調査に基づくものです。
※引用の際は出典として「株式会社スポルアップ調べ」を明記してください。

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この記事を書いた人

事業内容:EC支援・マーケティング支援・データ分析
代表は大手ECプラットフォームにおける実務経験を有し、役員は市場調査会社にてリサーチ業務に従事。実務とデータ分析の両面から企業の成長支援を行っています。

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