プレッシャー克服 第3話 「ちゃんとやらなきゃ」がプレッシャーに

スポーツをする人の多くが悩まされたことがあるであろう、プレッシャーとの付き合い方について連載しています。

今回はまず、プレッシャーがパフォーマンスに影響を与えるプロセスについてです。

特定のスポーツを日常的に行っている人は、練習を積み重ねることによって、意識しなくても一連の動作をスムーズに行えるようになっていきます。

例えばキャッチボールをするとき、「どのタイミングで足を上げよう」とか「手首をどれくらい回せばいい」などと一回一回考えなくても、ボールを投げることができるはずです。逆に、この細かな体の動きをあえて意識しながら慣れている動きを行ってみるとどうでしょう。普段と感覚が変わり、いつもはスムーズに動かせる体に違和感を覚え、なんだか上手くできなくなってしまうはずです。

実は、プレッシャーがかかった時にもこれと同じ現象が起こっているのです。

人に見られていたり、良い結果を出さないといけないと感じていたりすることでプレッシャーが発生します。プレッシャーがかかると、正確に動作を遂行する動機、つまり

「ちゃんとやらなきゃ」

という気持ちが強まります。すると、普段は意識していない体の各部位の細かい動きにまで意識が集中していきます。集中が強まると上手く動けそうなものですが、スポーツにおいては、練習によって無意識に動けるようになっているため、この細かい集中がかえって滑らかな動作の邪魔をしてしまうのです。

このようにして、プレッシャーはスポーツの動作を妨害し、結果としてパフォーマンスを下げてしまうのです。

では、どうしたら体の動きに意識を向けずに済むのでしょうか。「意識しないようにする」というのは、そう考えている時点で既に意識してしまっていて、うまくはいきません。有名な心理学の実験で、「シロクマのことを絶対に考えないでください」と指示された人は、「シロクマのことを覚えておいてください」と指示された人よりも鮮明に事前に見たシロクマの映像を記憶していたという結果があるほどです。意識したくないことを効率的に頭の中から消す方法について、次回は紹介します。



参考文献:What Do People Think They’re Doing? i Action Identification and Human Behavior

記事筆者:澤田 舜樹