第5話 選手が飽きない練習設計【アメリカ独立リーグ編】

仁志敏久インタビュー、第5話は【アメリカ独立リーグ編】です。
日本プロ野球界を離れ、アメリカの地で新たな挑戦。同じスポーツではあるものの、文化や価値観が違う異国で、どんなことを学んだのか、色々と伺いました。

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日本の練習時間に疑問を感じた

山本
アメリカではどんな事をやっていたのか興味があります。アメリカ独立リーグでの話も訊かせてください。

仁志
メジャー傘下のチームではないので、マイナーリーグとも少し違うと思います。期待された選手や昇格を待つ選手というよりは、マイナー、メジャーの空きを待つ選手、とりあえず野球で給料をもらっているというケースがほとんどです。
野球に関しても細かいことはやらないです。
ただ、独立リーグで思ったのは「時間の使い方」の日本との違いですね。
日本の場合、練習から試合が終わるまで、極端に言ったら球場に入ってから出るまでずっと緊張しっぱなしです。リラックスしているようで気が張っていることがほとんどです。
アメリカに行って感じたのは、練習はほどほど、緊張感が出てくるのは試合が始まる直前くらいで、試合が終ってロッカーに帰ればすぐにリラックス。
スイッチのオンとオフがハッキリしています。
日本の試合前の練習のように毎日守備、走塁、バッティングと時間をかけて、時には数を増やしてということがない。
全体でやっても1時間程度。ノックを受けていてもある程度ノックを打ってもらうと打っている監督の方が「もう終わり」と言って、行ってしまう。
練習が終わると2時間くらい時間があって、みんなのんびりカードをやって遊んだり、ビデオを観たりしています。
試合20分前ぐらいまでこんな感じです。

山本
20分前まで!
また肩を作らないといけないレベルですね。
仁志さんはこの環境にはすぐ慣れましたか?

仁志
すぐに慣れましたね。
最初は物足りないと思いました。
でも慣れるといかに日本が練習をたくさんやっているかと感じてしまいます。

 

山本
それはどちらかというと悪い意味ですか?

仁志
そうですね、どちらかというと悪い意味です。
毎日毎日試合をやっていますから、生真面目に毎日すべてをきっちりこなす必要もなく、練習をしたのであればシートノックもそれほど意味は成さないとも思います。それだけでも結構体力が必要ですからね。
ですから、少し日本の習慣には疑問もあります。
アメリカが全て良いとは思わないですけど、シーズン中の練習に関してはやりすぎだと感じることが多いです。
ベテランといわれる年代になって特に思いましたけど試合がというよりも、「今日も体きついなぁ」と思いながら試合前の練習に入るのが非常につらい。
試合に入ってしまえば「ちょっと疲れた」と、思ったとしても勝ち負けを競っていればそれくらいは耐えられる。
でも練習が始まる時にはすでに「ああしんどいわ」って思っているわけですから、試合に入るときはもっとしんどい。
時には練習無しもいいのではと思います。
だってほとんど毎日野球やっているわけですから。

 

短い時間の中で練習するには指導者側のスキルが必要

山本
練習時間をどう考える、というのは大きなテーマですね。

仁志
そうですね。
一昨年ダイアモンドバックスのマイナー選手のシーズン後のキャンプにコーチ研修という意味合いで参加させてもらいました。
その時思ったことは、時間を決めてやった方が選手はきちんと熟すし指導としては難しい。もちろん短めの時間で。
短すぎてもいけませんが、ある程度気が抜けない長さで練習をすれば終わりが見えるので惰性にはならない。
短い時間の中で指導をするということは、実は指導者側にもスキルが必要です。短い時間の中でどんな方法で練習をさせ、目的もハッキリしなければ選手が戸惑います。
なぜこの練習をするのか?
この練習で習得できるのはどんな技術なのか?
その結果、どんなケースで必要とされるのか?
といったことをきちんと選手に伝えなければ練習そのものの意味がぼやけてしまいます。

山本
その練習の目的や意図をちゃんと伝えるっていうことですかね。

仁志
そうですね。
組で回る練習ではひとつのパートが20分くらい。
4,5人の組で動き、バッティング、守備、走塁などを順番に熟していきます。
その中で、確実に伝えるべきことを理解させるのはすごく難しいです。
毎日の練習ですから、方法も考えないといけません。
ただ、20分は「たかが」ですが「されど」でもあります。
長々と無駄に時間を費やすような時間の使い方をする練習であれば、きちんとやることをやれば20分あれば充分であるとも言えます。

選手が飽きない練習設計

山本
この練習(組を作って回る練習)の有効性は何でしょう?

仁志
全部が良いとは思わないですが、ただ、選手たちが、飽きないということが第一。
これ日本だと30分、40分くらいでやることもありますが、やること多いと30分はちょっと長いです。正直、同じことを30分間やるのはものによりますが、飽きます。
選手が飽きないっていうのは大事なことだと思います。
やらせる方よりもやる方に意味がないといけないわけですから、方法や時間は趣向を凝らした方がいいと思います。
指導する側からすると短い時間の練習では楽すぎるのではと思われるかもしれませんが、短い時間ながら次から次へと移動しながら練習するのは意外ときついと思います。
選手たちを見ているとトイレに行く暇もないようでしたから。
20分しかないと指導側も早く取り組ませたいので、「早く来~い!」って声が聞こえてきます。選手たちもその声に応えて急がないといけないので歩いてくる選手は一人もいません。

山本
終わりが見えて、次も見えている分、ダラダラ感が無くなるかもしれないですね。

仁志
全体では3時間くらいで終わってしまいます。
全体は9時半くらいからスタートで、ウォーミングアップを始めて、12時半くらいに全て終了。
短いと思うかもしれないですが、この練習を4時間も5時間続けるのは無理だと思います。休みなく次から次へとメニューを熟していくのでかなりハードです。
ダラダラと4、5時間やるのであれば、パッパと3時間くらいで終わって、あとは自分で課題を見つけて個人練習をやった方が絶対に身になると思います。

山本
かなり濃密な3時間の全体練習ですね。
ちなみに、アメリカに行って、日本の方が良いなぁ、と思うことはありますか?

仁志
指導の丁寧さとか細かさというのは、日本の方が圧倒的に上だと思います。
ですから意外と向こうのコーチから「こういうのをやりたいんだけど、どういう方法がある?」ってよく聞かれました。
アメリカはなんでも先を行き、日本は常に遅れているという考え方をする人もいますが、どちらが優れているとか言う話ではなく、どちらも良いところを生かして高め合った方が将来的にも面白いものになっていくと思います。

 

 

【アメリカ独立リーグ編】はここまでです。
指導者として、どんな練習をすべきなのか。そしてその練習をするために必要な練習時間がどのくらいなのか。これは多くの指導者が悩んでいるテーマだと思います。私的の感じたポイントは「飽きさせない工夫」だと思いました。何事にも「飽き」というのは怖いものです。逆に選手に「没入感」を味わってもらえるような練習の内容や構成を見つけると、質・効果が圧倒的に良い方向へ変わると思います。
さて次週は、指導者の方には更に必見の【U12監督編】です!お楽しみに!

 

プロフィール

仁志敏久
1971年10月4日 茨城県古河市出身
野球解説者、野球指導者

経歴
常総学院高等学校、早稲田大学、日本生命、読売ジャイアンツ、横浜ベイスターズ、 ランカスター・バーンストーマーズ

主なタイトル歴
新人王(1996年)
ゴールデングラブ賞4回(1999年~2002年)

仁志敏久ホームベースクラブ facebookページ

 

山本慎二郎
1979年9月14日 宮崎県宮崎市出身
株式会社スポリティー 代表取締役

職歴
株式会社シンソフィア
楽天株式会社
アマゾンジャパン
株式会社オズビジョン
インクルージョン・ジャパン株式会社
株式会社スポリティー

スポリティー会社情報
山本慎二郎 facebookページ

 

 

 

仁志敏久
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