ステップ練習 大畑大介から学ぶ「まっすぐ走る」と「流れる」

これまでの日本ラグビー界においてトライゲッターはたくさんいますが、やはり世界に誇るトライゲッターとして日本で知名度の高い選手と言えば「大畑大介」氏ではないでしょうか。

動画は大畑氏が現役時代にやってのけた伝説的なトライ、香港セブンの試合での試合終了間際に自陣ゴール前から6人を振り切り逆転のトライシーンです。このトライを「スピード」という言葉一つで片付けるのは簡単です。しかし足の速さだけで言えば、大畑氏と同じくらいの速さで走る選手はいるでしょう。なぜ大畑氏は他の選手よりも豪快なトライを取り続けることができたのでしょうか。

今回は「まっすぐ走る」というキーワードを基に考えてみたいと思います。

 

一般的に「まっすぐ走る」とは、ゴールラインに対して最短距離のコースを走ることを意味します。小学生のラグビースクールから日本代表レベルのチームに至るまで全く同じように「まっすぐ走りなさい」と指導されます。また斜めの方向に走ることを「流れる」と言います。「流れて」走ると「流れるな」ときつく怒られた経験がある選手も多いでしょう。

動画の大畑氏はどうでしょう。「まっすぐ走る」が出来ているでしょうか?それとも「流れて」いるのでしょうか?

結論は「まっすぐ走る」ことが出来ているのです。私は大畑選手が他の選手よりもトライを量産できたのは、圧倒的な「スピード」と共にこの「まっすぐ走る」技術を身に付けていたからだと考えています。

ランナーにとって「まっすぐ走る」意図は、相手と正対した際に、内側にも外側にも走るコースを見つけることができることにあります。逆に言えば、相手と一対一の勝負をする瞬間に内側にも外側にも走れる態勢が作れていればそれはランナーにとって「まっすぐ走る」ことが出来ていることになります。つまり、相手と正対する一瞬がポイントです。

動画のプレーで大畑選手は3人の相手タックラーと正対しています。

 

1:一人目のタックラーに対して、大畑選手は斜めに「流れて」走っているように見えますが、スピードをコントロールしながら、内側のコースを感じているのが伺えます。そして相手が外側に振られた瞬間に内側にコースを切り替えています。これは「まっすぐ走る」技術を持ってるからこそ、内側のコースをトップスピードで駆け抜けることができるのです。

2:二人目のタックラーに対しても、まっすぐ相手に向かっていき、タックラーの内側にも外側にも走れる態勢を作っています。そして一瞬内側に走ると見せかけて大きく外側にステップを踏んでいるのが分かります。

3:三人目のタックラーに対しては、二人目のタックラーを交わした勢いでやむを得なく態勢が「流れて」しまっているにも関わらず、スピードコントロールすることで、相手が警戒している以上に外側にステップ(スワーブ)を切っています。普通のランナーであればやみくもに斜めに「流れて」しまい、タックルされている場面です。大畑氏が一瞬スピードをコントロールすることで、相手タックラーは内側を警戒し足が止まってしまいます。大畑選手がスピードをコントロールすることで、相手選手は外側だけをケアすることができず、振り切られているのです。単純にスピードだけで勝負しているように見えるのですが、「まっすぐ走る」技術がなければ最後の外側へのスワーブは切れないです。

かなりの高等技術ではありますが、やはり基本である「まっすぐ走る」を常に意識しているからこそ生まれるテクニックです。基本に忠実である。大事ですね。

では動画をご覧ください。



動画引用元:1999 香港セブンス 大畑の伝説的トライ